世界の片隅で生きています

社会不適合者の生きる道

社会人が奨学金制度を利用して中国留学する方法

「中国に留学したいけど、そんな貯金はないし、親にも経済的な負担は掛けられない…。」

私が留学を考えた時、一番に頭に思い浮かんだのは,お金の問題でした。

当時27歳だった私は社会人としてすでに働いてはいたものの、貯金はほとんどない状態だったので、自費での留学は到底考えられませんでした。

今回はそんな私が、どのようにして中国留学を実現することができたのかについてお話したいと思います。

 

 

社会人が利用できる奨学金制度とは

まず始めに、社会人が給付型の奨学金制度を利用して、中国に留学できる方法があるのかどうかについて調べました。

"社会人""奨学金""中国留学"などのキーワードで調べてみると、私の場合最終的に2つの機関が設立した奨学金制度に申請可能なことがわかりました。

一つは公益社団法人 日本中国友好協会の中国政府奨学金、もう一つは孔子学院奨学金留学プログラムです。

ちなみに、前者の(公社)日中友好協会は日本の法人団体で、後者の孔子学院は中国政府が設立した教育機関です。

チャンスは1つでも多い方が良いと思った私は、上記2つの奨学金制度に申請することを決めました。

奨学金制度に申請するには、事前にいくつかの条件を満たしておく必要があります。

それらの条件の中の一つに、HSKと呼ばれる試験で、ある一定以上の成績を修めている必要があります。

このHSKとは一体何かというと、中国政府教育部の直属機関である孔子学院总部/国家汉办が主催している中国政府公認の中国語検定試験のことです。

  

孔子学院奨学金制度を利用して留学

日中友好協会の奨学金制度には2年連続で申請しましたが、1年目も2年目も書類審査の段階で不合格でした。

これはあくまで私の推測に過ぎませんが、私の最終学歴が高卒という時点で、ふるいにかけられていたのかもしれません。

正直言って、全く手応えがありませんでした。

ここで現実に打ちのめされそうになりましたが、私にはまだ一つ希望が残されていました。

それが孔子学院の奨学金制度です。

1年目の挑戦では、推薦状を発行してもらうための書類審査と面接には合格するものの、肝心の大学への申請段階で定員が満員になり、募集が打ち切られてしまいました。

悔しくて涙を抑えることができませんでした。

しかし、この失敗を教訓に翌年は早め早めの準備を心がけ、挑戦2年目にして上海外国語大学へ公費留学できることが決まりました。

 

孔子学院とは?

では、孔子学院とは何なのかと言うと、中国政府が中国語や中国の文化を世界に広めることを主な目的とした中国政府直属の教育機関です。

 

中国語の国際的普及を促進すると共に中国文化を広め、一定水準に達する中国語教師及び人材を養成するために、孔子学院本部によって設立された奨学金制度です。中国の大学での留学を支援しています。

 

引用元:孔子学院奨学金留学プログラム | HSK 日本で一番受けられている中国語検定

 

中国政府が設立した孔子学院は世界中の大学と提携し、中国語や中国文化を学びたい各国の留学生の中国留学などを支援しています。 

 

孔子学院奨学金はどこまでをカバーをしてくれるのか?

奨学金の種類は1種類だけではなく、AコースからGコースまで計5種類のコースがあります。

それぞれのコースで、奨学金に含まれる費用が異なってくるので注意が必要です。

今回はCコースの中国語研修生として留学する場合の奨学金内容を紹介します。

 

 1.学費

留学期間中の授業料が全額免除されます。

授業は基本的に午前中のみですが、大学によっては午後からの選択授業を受けることも可能です。

 

2.寮費

留学期間中の寮費が免除されます。

また、光熱費(水道代、ガス代、電気代など)も全てこの寮費に含まれています。

ただし、入寮する時に保証金を支払う必要がありますが、何も問題がなければ退寮時に全額返金されます。

ちなみに寮の部屋は原則として2人部屋です。

聞くところによると、アジア人はアジア人同士、欧米人は欧米人同士で部屋割りをされることが多いようです。

これには例外もあるらしく、ある日本人留学生のルームメイトはウクライナ人でした。 

 

3.生活費

月に1度、生活費として2500元が支給されます。(金額はコースによって異なる)

私はここから、食費や交際費、雑費を捻出していました。

日本円にして約4万円程ですが、贅沢をし過ぎなければ十分に生活ができると思います。

しかし、この生活費は授業の出席率がある一定の基準をクリアしていないと支給されません。

 

4.医療保険

総合医療保険費も奨学金に含まれています。

私は留学中、病院に行くことはありませんでしたが、もしもの時も保険に入っていれば安心です。

 

このように、留学生活中に掛かるほとんど全ての費用を奨学金でカバーすることが出来ます。

ただし、往復の飛行機代や健康診断書代などは自分で負担しなければなりません。

 

どんな人が申請できるの?

奨学金プログラムを申請するには、クリアしなければならない条件がいくつかあります。

 

1.中国籍以外

2.35歳以下であること(在職中の中国語教師の場合は45歳まで、Dコースは20歳未満)

3.HSKとHSKKの成績

 

HSK(HSKK)とは中国政府公認の中国語試験で、HSKは1級から6級、HSKKは初級、中級、高級に分かれています。

どの奨学金コースに申請したいかで要求される級やスコアも変わってくるのですが、例えば5ヶ月間の留学を希望する場合は、HSK3級210点以上、かつHSKKの受験経験が必要条件です。

詳しい内容については、こちらからご確認ください。

孔子学院奨学金留学プログラム | HSK 日本で一番受けられている中国語検定

 

高卒、アラサーの私でも奨学金制度を利用できた

私は学歴もなければ(高卒)、大したキャリアもありません。

おまけに年齢もそんなに若くありません。

人よりも劣っている点の多い私に残された唯一の希望は、HSKでどれだけ高いスコアを取れるかでした。

HSKで高いスコアを取れれば、奨学金制度を利用できる可能性も上がるはずだと思い、私は働きながら独学で中国語を勉強しました。

その結果、留学前にHSK5級244点を取ることができ、無事に奨学金制度を受けることができました。

孔子学院の奨学金制度は、中国語や中国の文化を学びたいという強い想いがある人に対して、広く開かれた制度であると思います。