世界の片隅で生きています

社会不適合者の生きる道

中国語でよだれ鶏を注文してみた話

最近、彼が引越しをした。

今までは駅から歩いて10分圏内、都内の学校にも1時間程度で通える交通の便がいい所に住んでいた。

でも、彼の住んでいたアパートは防音が非常によろしくないらしく、いつだかこんな嘘みたいな話を教えてくれた。

それはある日、彼が自分の部屋でくつろいでいた時に起こった。

なんと下の階からオナラの音がはっきりと聞こえてきたというのだ。

「まさか〜」とは思ったけれど、その時の彼の表情が真剣そのものだったので、おそらく嘘ではないのだろう。

私は思わず笑いそうになるのを堪えて、急いで真剣な表情を取り繕った。

 

結局彼はそのアパートに2年ほど住み、最終的に学校からは少し遠くなるけど、静かな住環境が期待できそうな郊外のアパートに引越しをした。

最近私も彼の新居にお邪魔をしたのだが、玄関に一歩足を踏み入れた瞬間に、以前のアパートよりずっといいやと思った。

1DKの間取りではあるが、一人で生活するには十分な広さの部屋で、南向きのため日当たりもいい。

部屋の中で過ごしてみると、隣人の生活音は多少聞こえるものの、そこまで気にはならない。

これで彼も悩みの種だった防音の問題からきっと解放されるだろう。

 

その日のお昼は外でご飯を食べることにした。

私達2人が一緒に食事をすると、ほとんどの場合、中華料理を食べることになる。

中華料理と言っても、日本人好みの中華料理ではなく、八角や桂皮、唐辛子などの香辛料をふんだんに使った本場の中華料理だ。

この日はたまたま入ったデパートのフードコートで、台湾料理の看板を掲げるお店を見つけた。

うん、見るからに期待できそうな佇まいだ。

そして店員さんも中国人ぽい。

まずはメニューを見ていた彼が中国語で注文を伝え始めた。

それに対して、店員さんも東北弁なまりの中国語で対応する。

どうやら彼女は中国東北部の出身のようだった。

台湾料理店だからと言って、それを作る料理人が必ずしも台湾人だという確証はどこにもない。

2人のやりとりを隣で聞いていた私は、「よし、せっかくの機会だから、私も中国語を使って注文してみよう。」と思った。

以下、中国語のやりとり。

 

私「よだれ鶏を一つ。」

店員さん「辛さはどうしますか。」

私「中辛で。」

 

ここまでは、何とか中国語で注文することができた。

こんな簡単なやりとりだけど、彼以外の中国人と中国語でコミュニケーションを取るのはやはり緊張する。

しかし安心したのも束の間、次の瞬間、店員さんは急に日本語で私に質問してきた。

 

「ポイントカードは持っていますか。次回からお待ち頂くと〜(以下省略)」

 

あぁ、やっぱりダメだったか‥‥。

あわよくば、日本人だとバレずに最後まで中国人のフリをして注文ができるかもしれないという私の淡い期待はいとも簡単に崩れ去った。

その後も店員さんは日本語で対応してくれたのだが、私はというと、どこで日本語に切り替えたらいいのか、完全にタイミングを逃してしまい、結局最後まで中国語を貫き通した。

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味は本当に申し分ない。ピーナッツが食感のアクセントになっていてgood!

今回の出来事は、中国語学習の最終目標を「中国人に間違われるぐらい自然な中国語を話せるようになること」と位置付けている私にとって、「お前の中国語はやはりまだまだなのだ」と烙印を押されたようでショックを隠しきれなかった。

 

語学を学習する上で悔しい思いをしたり、もどかしい思いをすることからは避けて通れない。

正直言うと、私はその度に心が折れそうになる。

それでも未だに中国語の勉強を継続できているのは、私が中国語に魅せられているからであり、「中国語を話せるようになりたい。」という欲求が常に私の心を掴んで離さないからではないかと思う。

ただの自己満足かもしれないが、自分を満足させられるのは自分一人しかいないのではないだろうか。

だから、自分のために自分の人生を生きたいと願いつつ、現実ではなかなか思い通りにいかないことの方が多い。

それでも、諦めずにまた忍耐強く正しい努力を積み重ねることで、いつかはきっと自分の理想としていた姿に近づけるのではないだろうか。

少なくとも私はそう信じて、自分に言い聞かせるように今この文章を書いている。