世界の片隅で生きています

社会不適合者の生きる道

私の胃袋を満たしてくれた食べ物たち【上海】

日本の生活にどっぷり浸かっている今、思うこと。

それは上海留学中に、もっと中国各地の料理を食べたり、国内旅行に出かけたりして、中国での生活を存分に享受しておけば良かったなと。

今となってはそう思うけれど、当時は毎月の生活費を安く抑えようと節約を心掛けていたし、何よりも正直外に出るのが怖かった。

寮から一歩外に出た途端、中国語という言葉の壁が私の前に立ちはだかるからだ。

臆病な私はそれが怖くて、知らない場所に一人で出歩くことはあまりなかった。

それでも時々、上海の友人の家に遊びに行かせてもらったり、同じクラスの留学生とご飯を食べに行ったりすることはあったけれども。

その他の理由として、宿題が思ったよりもボリュームがあって、またそれをこなす私の中国語のレベルが追いついていないこともあり、なかなか自由な時間を作り出すことが難しかったのも理由としてあるかも。

 

私は普段、大学の食堂や寮の周辺にある学生向けのお店で食事を済ませていた。

一食大体15元(240円)程度でおかず3品と白米が食べられるし、味もなかなか良かった。

もちろん麺類のメニューも豊富に揃っている。

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ある日の夕食。ナスの甘辛炒め、骨付き鶏肉とピーマンと枝豆の炒め物。

ちなみこのスープは無料で付いてくるけど、味がほとんどない。


お昼時や夕食時になると、食堂はたくさんの学生で溢れかえっていて、席を探すのも一苦労という状況に見舞われる。

そして非常に賑やかだった。

落ち着いてゆっくり食事ができる環境ではないが、比較的安全な食事を安価で食べられるのが大学の食堂の利点なのかもしれない。

 

 

私は朝ごはんを食べなくても平気な人間なのだが(空腹は感じる)、授業中にお腹が鳴ってしまうのを回避するために、留学中は朝食を少し食べるようにしていた。

授業がある日の朝は少し早めに寮を出て、通学途中にある屋台で肉まんと温かい豆乳を買って、誰もいない教室でゆっくりと朝ごはんを食べるのが私の日課になった。

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ある日の昼食。茶葉と醤油で煮込んだ卵と肉まん、紫芋あんのデニッシュみたいなもの。

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紫芋あんのデニッシュの中身はこんな感じ。外はサクサク、中はしっとり。

程よい甘さで飽きが来ない。


私が毎朝決まって買いに訪れていた屋台の店主はとても感じが良くて(中国ではなかなか珍しい)、決して飾っ気があるとは言えない装いだったけど、色白の肌が印象的な綺麗な人だった。

聞くところによると、その女性は安徽省出身で、ご主人と一緒にお店を営んでいるようだった。

以前、安徽省の人は商売に長けている人が多いと聞いたことがあるような気がする。

時々フォルダの中の写真を見返しながら、「今もきっと毎日、学生の胃袋を支え続けているのだろうな。」とぼんやり思いを巡らせたりもする。

 

今となっては日本の生活にどっぷりと浸かり、毎日時間に追われている内に1日が過ぎ去って行く。

ふとした瞬間に「去年の今頃は‥‥。」と当時を振り返って、また中国に戻りたいと思うことが度々ある。

それがただの現実逃避から来るものなのかもしれないという憶測は捨て切れないが、私にとって中国はやはり縁のある国なのだと思わざるを得ない。